『自転車ツーキニスト』疋田智

自転車ツーキニスト (知恵の森文庫)疋田 智知恵の森 2003-06-06by G-Tools 著者はTBSのディレクターです。自転車をめぐる著書をいくつか出していて、これはその中の最初の本。 自転車通勤を始めるきっかけは、放置してあった自分の汚い自転車を磨いているうちに、昔の愛着が甦ってきたからなのだそう。 ダイエットだエコロジーだといろんな理屈がつけられますけど、自転車通勤をする最大の理由はやっぱり楽しいからなんですよね。満員電車や渋滞の車を尻目に、季節の風を受けて街を駆け抜けるのが心地よさそうです。 で、都会であればあるほど自転車の走る場所が問題になりますが、行政が腰を上げれば自転車専用レーンを設けるのも簡単な気がしますけど、どうなんでしょう。 通勤に使うならいい自転車を買いましょう、と著者は述べています。 例えばヨーロッパでは自動車メーカーも自社ブランドの自転車を作っています。プジョー、ローバー、ベンツにポルシェにBMW、そしてジャガーと、ネットで写真を見ていたら、性能の良さはもちろん、ママチャリと呼ばれるものでもかっこいいデザインで、思わず欲しくなってしまいました。 お値段もいいですから、盗まれてもあきらめませんし、かえって大事にしますよね。 数千円の自転車は、やはり安全性を犠牲にして安くなっています。使い捨てにせず、いい物を作って買うほうはそれなりの対価を払い大切にする、という考え方は自転車だけに限らないな、なんて思います。

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『銀輪の覇者』斎藤純

銀輪の覇者 (ハヤカワ・ミステリワールド)斎藤 純早川書房 2004-06-25by G-Tools 戦争の足音が忍び寄る昭和九年、軍部の暗躍から実用自転車を使用した前代未聞の本州縦断レースが開催される。 多額の賞金を狙い、寄せ集めチームを結成した響木、越前屋、小松、望月の四人は、各々異なる思惑を秘めつつ、有力チームと死闘を繰り広げるが……。  ~ カバーより ~ 大会委員長の山川をはじめ、元紙芝居屋の響木、噺家崩れの越前屋、ガタイのいい望月、そして小松。それぞれの本当の身分や思惑は明らかにされずにレースは始まります。ミステリの要素よりもレースの駆け引きや人物たちの心の動きを素直に読むほうが楽しめるように思いました。 題材や時代背景の設定は秀逸なのですが、多くの事柄を盛りこんだことや視点が頻繁に変わるなど、全体として少し散漫な印象をうけてしまったのが非常にもったいなかったです。 話は変わって、自転車のロードレース自体現代の日本ではマイナーでほとんどテレビ中継もされません。私の住んでいる地域でも毎年、国内最大級の「ツール・ド・北海道」というロードレースを開催していますが、知名度が低いです。サイトを見てみると、未だに2004年度の結果のままで、2005年度の日程すら載せていないんですよね。PRする気があるのでしょうか? ちなみに2005年度は9月14~19日開催予定(SIMANO)

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『自転車少年記』竹内真

自転車少年記竹内 真新潮社 2004-05-25by G-Tools 四歳の昇平が乗った自転車が生垣に突っ込み、飛び越えた先が草太の家の庭だった。そうして出会った二人が共に自転車の特訓をし、年齢を重ね、高校では自転車部を創設、恋や進路に悩み、それぞれの生き方がやがて東京発糸魚川行きの八海ラリーへと結びついていく。 人生を歩む上での悩みや選択をする時に、自転車で道を走る場面が重ねられていて、この効果が素晴らしいです。風を切り、坂道を黙々と登り、お互いの道が分かれても時に交わる、そして後戻りはありません。 でも正直、サブの登場人物のほうが魅力があったりするんですよね。伯父が自転車屋でエロ本集めが趣味の伸男なんかいいじゃありませんか。 全体にあまり嫌な人物も出てこないし、後半の話の流れは理想を込めすぎの感もありますけど、ひたすら爽やかに、読み手も自転車と一体になるような楽しさを感じました。

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