買った本、読んだ本

たまには買った本など書いてみます。 『百鬼夜行抄(17)』今市子 最初の「狐使いの跡継ぎ」は、話が素直だし燈子ちゃんも可愛くて○。蝸牛の話「付け馬」もよかった。 八代って、いまいちメジャーになれない幸薄い演歌歌手みたいに思えてしょうがないです。 『三国志』宮城谷昌光 いよいよ文庫化。第1巻、第2巻を購入。これは何巻まで出るのでしょうか。 三国志は昔々に吉川英治のを読んだきりです。 長いのは積読になる危険性が高いのよね。 『子午線を求めて』堀江敏幸 まだ売ってませんでした。10日発売だと勘違いしてました。15日でした。『三国志』と一緒に買おうと思って、文庫の新刊コーナーをぐるぐる回ってしまいました。単行本を読んでいないので楽しみです。 あとは読んだ本など。 『十三妹』武田泰淳 日本の中国武侠ものの走りです。『富士日記』で、妻の武田百合子がせっせと鉄道便にのせていた原稿がこれみたいですね。続編が書かれたなら、もっと面白くなっていたかも。語りのノリはいいです。 『銀の匙』中勘助 どこの図書館にもある『銀の匙』。現代かなづかいで字がデカくなっていたので読みました。 えらく感じやすい子供だったのね。思い込みの強いところや、子供同士の嫉妬などもするすると書かれていて、衒いがないのがいいです。 「私にとっては知らない人間は即ち嫌いな人間である。」 …ってのはどうよ、と思って笑ったけど。 『異能の画家伊…

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『書剣恩仇録 1~4』金庸

うーん……、微妙です。 清朝第六代皇帝・乾隆帝の秘密を知った人物が朝廷から追われる身となります。彼は反清を掲げる秘密結社・紅花会に属しており、救出のため会が動きだします。その過程で明らかになる乾隆帝の秘密、紅花会二代目当主の数奇な運命、そして恋愛、義を重んじる好漢たちの活躍と、内容は盛り沢山です。 金庸の処女作、面白くないわけじゃないけれど読んでいて少々ダレました。引っ張りすぎでちょっとくどいかな、と思うところがいくつかあって中だるみする印象です。 イライラしたのが紅花会二代目の陳家洛。二人の女性の間で揺れ動き鬱屈する姿、大義のために振りかざす青臭い論理、そして傷つくボク、という第四巻でのおめでたい様子はかなりマヌケです。 朝廷高官の娘と回族の娘・カスリーにもイライラ。金庸の書く女の人って、赤ん坊みたいなのが多いんですよね。 よかった部分ももちろんあります。 金針を飛ばしハエを壁に釘付けにする手習いの師匠と、その様子をこっそり覗き見る少女。直後に書き置きを残して姿を消した師匠が、少女の前に再び血塗れで現れる…という導入部はこれから何が始まるのかと引き込まれます。脇を固める武林の達人たちもユニークで言うことなし。 こうして書いてみると、どうやら私が気に入らない部分の大半は、キャラに対する私怨のようです。もう少し軽妙で笑いがあると気にならなかったかも。 書剣恩仇録〈1〉秘密結社紅花会 書剣恩仇録〈2〉乾隆帝の秘密 書剣恩仇録〈3〉砂漠の花香妃 書剣恩仇録〈4〉紫禁…

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『侠客行』金庸

侠客行〈1〉野良犬 侠客行〈2〉闇からの使者 侠客行〈3〉侠客島の秘密―金庸武侠小説集 出自も本来の名前も知らぬ浮浪少年・狗雑種(のらいぬ)は、ひょんなことから多くの武芸者と出会い、数奇な運命に巻きこまれる。江湖の新興勢力「長楽幇」の幇主に見なされて「石破天」と呼ばれ、また、武林の名剣客・石夫妻の息子と見なされて「石中玉」と呼ばれる。自分が何者であるかわからぬまま流されていく狗雑種。やがて十年に一度巡リ来る江湖の災い、赴けば戻らず拒めば皆殺しとなる「侠客島」からの呼び出しが、彼らの頭上に影を落とす。 エンターテイメントというよりも娯楽大作と表現したい金庸の本は、内容が盛りだくさんで読後お腹いっぱいになります。テーマも親子の情や信義・義侠心とこれまた盛りだくさん。これに数々の謎と冒険が加わって、読者も主人公と同じく、あれよあれよという間に物語に翻弄されます。 主人公は山出しで頭は悪くないが字を識らず、人情世故に疎くてよくいえば純朴、今風にいえば空気が読めない天然男。 そして変人揃いの武芸者が楽しいのですけど、年配者が多くてキャラ萌えしたい人にはきついでしょうか。 小説の好きな部分というのは人によってまちまちです。ストーリー重視であるとかキャラクター重視などが挙げられますが、私自身は構造フェチなところがあります。一つの言葉やエピソードが様々な意味を内包し、幾重にも層をなして素晴らしい和音を響かせる、それが強く感じられる本でした。

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『碧血剣』金庸

碧血剣〈3〉北京落城 (徳間文庫)金 庸 小島 早依 徳間書店 2001-09by G-Tools 碧血剣〈1〉復讐の金蛇剣 碧血剣〈2〉ホンタイジ暗殺 時代は明末(17世紀前半)、名将・袁崇煥は無実の罪により崇禎皇帝に処刑される。 明朝が満州族の侵攻と李自成らの反乱に揺れるなか、復讐を誓った袁崇煥の遺児・袁承志(えん しょうし)は崋山派の門弟になり武術を学ぶ。 崋山の山中で偶然、伝説の侠客である金蛇郎君の遺骸を見つけた彼は「金蛇秘笈」を修得、李自成らの支援をしている師父に合流するため下山し、旅立ったのだった。 超人のごとく強い袁承志を主人公にして、道義を重んじる江湖の世界側から歴史の大きな流れを描きます。 承志を可愛がる師父たち、お金に目がない敵の武芸者たち、お約束のように承志に惹かれる美少女たち。出てくる武林の実力者たちが魅力にあふれていて、闘いの場面はつっこみ所満載、「バカだー」と笑わせて頂きました。 『雪山飛狐』でも書きましたが、過酷な運命でも変な悲壮感が無いからっとした筆運びと、駄目だと思えば素早く見切りをつけて新たな道を見つけていくところが、日本人の書くものとは違う気がします。 登場人物では、ここまで強くて真面目な承志は逆に面白みのない男で、人格が半端でなく偏った金蛇郎君と、金蛇郎君に激しく恋焦がれていた何紅薬のほうが私は好きだなあなんて思ってしまいました。

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『雪山飛狐』金庸

雪山飛狐林 久之 徳間書店 1999-02by G-Tools 天龍門北宗の前掌門、田帰農が自室で不審な死をとげた。 各々の思惑が渦巻く中、田帰農のもとから消えた一つの箱をめぐって争いが起き、人びとは険しい山の頂きにある「玉筆山荘」に集結する。 雪山飛狐(せつざんひこ)と名のる男と田家を含む三家との対立の発端は、百年以上前の李自成の敗死にあった? ひとくちに言ってしまえば、雪に閉じ込められた山荘で互いの醜聞を暴露し合い、それによって事件の真相が明らかになっていくミステリ仕立てのお話です。なのであまり詳しく言えませんが、登場人物がじめっとしてなくて変わり身がはやいところが大陸的ですね。 山荘に集まった皆さんは、舞台でスポットライトをあびた役者のように語りに語り、本性があらわになっていきます。でも誰しも疚しいところはあるわけで、人間臭くて滑稽なのがなんだか哀れです。 そしてもう一本の柱である、あまりにも凄すぎる武芸者同士の闘いは、一瞬のうちにとんでもない脳内処理を行なっているのだなあ、と改めて思った次第です。←なんて感想だ。 以下はどうしても叫びたいのですが、読む予定のある方のために反転。 こ、この終わり方はいったい何なんだー!! 呆然。 以上、反転終わりです。

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『楚留香 蝙蝠伝奇』古龍

台湾で発表された『借屍還魂』『蝙蝠伝奇』が、日本ではそれぞれ上・中下巻になって出版されたものです。 義賊の楚留香(そりゅうこう)は、楽天的で気取らず決して人を殺めないヒーローです。そんな彼が奇想天外な謎にせまっていく冒険活劇。 『借屍還魂』  ある有力者の娘が、息をひきとった直後に宿敵の家の長女となって甦る話です。展開がちょっと無理やりな気も…。 『蝙蝠伝奇』  武林の七大剣派で崋山派の領袖・存梅大師が突如還俗して弟子と下山。あとを追う楚留香は、親友らとともに神秘の島・蝙蝠島をめざし、蝙蝠公子に支配される暗黒の洞窟に潜入します。 楚留香の親友である胡鉄花と張三のかけあいが楽しい。 どちらの話も謎解きの要素があり、綺麗で元気なお姉さんが出てきます。 訳者の土屋文子と解説の田中芳樹によると、古龍は『楚留香』の構想に際し、ショーン・コネリー版の「007」を意識したらしいが、そのキャラクターはむしろアルセーヌ・ルパンであろうといっています。 古龍は酒と美女を愛し、各界の名士と豪遊、原稿料を蕩尽したという人で、そもそも著作権に無頓着、代作をしたりさせたり、著作権を譲ったり借金のカタにしたため、日本での作品群の出版が数社にわかれてしまったという経緯が面白い。 作品よりも、古龍の人生のほうに興味がわいてしまいました。

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