『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生

2010/08/1811:03
パクス・ロマーナの時代が終わると、北アフリカは徐々にイスラム化され、ヨーロッパの沿岸地域はイスラム教徒による海賊に襲われるようになります。破壊と掠奪が行われ、拉致された人々は奴隷にされます。 7~18世紀ごろまでこの状態が続いていたことに驚きます。やれ十字軍だルネサンスだと騒いでいたころも、ヨーロッパの名もない人々が鎖に繋がれて海賊船の漕ぎ手をさせられたり、奴隷として北アフリカに送られていたのですね。 キリスト教のヨーロッパ諸国はイスラムに脅威を感じていながらも、..

続きを読む

『戦争と平和』トルストイ

2009/12/0411:29
戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)作者: トルストイ出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1972/03メディア: 文庫 一度読んだぐらいでは到底把握できない作品なので、いつか再読するつもりです。通読して頭に浮かんだことを書いておきます。 歴史とは一人の英雄によって作られるものではなく、無数の人々の行動から成り立つものである。 この歴史観を明らかにするために、話の中心となる貴族の家庭から農民や一兵士にいたるまでの大勢の登場人物の行動によって、ナポレオンがロシアに侵..

続きを読む

『大奥 第五巻』よしながふみ

2009/10/0211:34
大奥 第5巻 (ジェッツコミックス)作者: よしなが ふみ出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2009/09/29メディア: コミック 綱吉編です。 第四巻で、物憂げな魅力で周囲を惑わす綱吉にわくわくした私でありますが、いい意味で裏切られます。第五巻で見せる、ひとりの生身の人間の顔に泣きたくなりました。 表向きの雰囲気は、世の中が平和になって、元禄文化がはなひらいて、大奥でもギラギラした欲望が交錯して…だけれど、綱吉に限らず玉栄も右衛門佐も皆すこしずつ哀しいのだ..

続きを読む

『イザベラ・バードの日本紀行』イザベラ・バード

2009/08/1412:20
1878年(明治11年)の日本を旅したイギリス人女性による旅行記です。 平凡社から出ている『日本奥地紀行』は、東北と北海道の旅を収録した普及版の翻訳。 講談社の『イザベラ・バードの日本紀行』は原典初版本の翻訳で、関西の旅も収録されています。 東北と北海道の旅は、従者と通訳を兼ねる伊藤と二人で東京から日光を経て新潟へ、東北の山間部を通過しながら青森、北海道へと渡ります。 蚊と蚤に悩み、山間部の農民の貧しく不潔な姿に驚き、木々が茂る山々の景色に感激するわけですが、..

続きを読む

『ローマ人の物語 ローマ世界の終焉』塩野七生

2009/08/0410:19
ローマ人の物語〈15〉ローマ世界の終焉作者: 塩野 七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12メディア: 単行本 ついに最終巻です。単行本の15巻。 そうか。ローマ帝国の滅亡ではなく、ローマ世界の終焉なのですね。 敗者をも同化し、国内の安全を保障することで繁栄したローマ帝国でありますが、統治者がこの責務を果たせなくなって衰えていきます。 蛮族の流入が激しかったのは第一にあるけれど、神が授けた皇帝のイスに座る者の目が、人や社会を見なくなっ..

続きを読む

『ローマ人の物語 キリストの勝利』塩野七生

2009/07/2309:22
キリストの勝利 ローマ人の物語XIV作者: 塩野 七生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2005/12/27メディア: 単行本 ローマ帝国が次第にキリスト教化する四世紀。コンスタンティウス帝からテオドシウス帝までを取り上げます。 単行本の14巻。 読み終えるまでになぜか一週間以上かかってしまいました…。 ギリシア哲学を愛し、ローマ帝国のキリスト教化を押しとどめようとしたユリアヌス帝のところは、筆に熱が入っていましたが。 ローマ人の物語は権力者中心で..

続きを読む

もっと見る