『前巷説百物語』京極夏彦

前巷説百物語 (怪BOOKS)京極 夏彦角川書店 2007-04by G-Tools これが文庫本になるとき、カバーの人形はやはり旧鼠でしょうか。子猫ちゃん育成版もいいけど、猫をがぶりと喰らうスプラッタ版も捨てがたいです。妖怪だし。 巷説シリーズの第四弾。や、又市さんがすっごく青いですね。このシリーズ、最後の話で特に盛り上がるようになっているわけですが、今回のは、その跳躍までの助走がながく感じられました。又市さんが駆け出しで仕掛けが荒削りだから仕方ないのですけど。 又市さん好きとしては、どんな時だって死んで良いなんて話はない、人死にを出したくないという理想を追って、彼が悩んで右往左往する姿にぐっときました。林蔵や角助がちらりとみせる純情(純愛じゃなくて純情ね)も含羞があってよかったです。

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『百鬼夜行抄 (16)』今市子

百鬼夜行抄16 [眠れぬ夜の奇妙な話コミックス] (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)今 市子朝日新聞出版 2007-11-07by G-Tools 相変わらずというか、懲りないというか、積極的に怪異にかかわる開さんが暴走してます。「闇の領域に手を出すな」という蝸牛との対立姿勢は変わらないんですね。でも手痛いしっぺ返しも受けたりして、親父さんのスタンスも受け入れられる日がくる…のでしょうかね、いつか。 最初の「羽擦れの島」で三郎さんの今後が決まります。私はあの箱庭のなかが少しずつ荒んでいく様子が、ことのほか胸に応えました。ええー、なんでだろ。心にすきま風が吹き抜けましたよ。 あと管狐がかわいい。

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『後巷説百物語』京極夏彦

後巷説百物語 (角川文庫 き 26-4)京極 夏彦角川書店 2007-04by G-Tools 単行本で一度読んでいます。買ったまま積んであった文庫をめくっていたら、巷説シリーズの人物相関図と年表が載ったチラシがはさまっていました。これを作った人はえらい。そうだったっけ? と思ってまた読みたくなりますから。 明治になって世の中が変わり、百介さんの語りでしか又市さんに会えないのが寂しいです。そんなことをしみじみ感じながら読み進め、「五位の光」で又市さんの罪作りな仕掛けに吹きました。京極堂シリーズの『狂骨の夢』で、ホネを集めていたおぢさんたちに合掌。気の毒に。 妖怪や怪異なんてものはないのだ、とする時代から眺める又市さんたちは、本当に昔のものとなり、それを語る百介さんの時代も遠くに過ぎ去っていくのだなあ、なんて、少し切ないような、むなしいような気持ちが余韻として残るのでありました。

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宇宙から妖怪まで読了

読了本を簡単に書いておきます。 『百億の星と千億の生命』カール・セーガン 地球に住むすべての個人の幸福をどう守っていくべきか、という提言がこめられた本です。巨大数の話から始まり、定量的に物事を理解する、すなわち他の無数の物と区別する数値的な面をとらえることで、その物事を深く理解できるのだと唱えます。その上で地球温暖化などの環境問題から政治や妊娠中絶の話まで、幅広い内容を噛み砕いて解説・考察しています。読むことで自分の視野も広がっていくように感じました。 なかで興味をひかれた本があったのでメモ。 『人はなぜエセ科学に騙されるのか』カール・セーガン 文庫化にあたって単行本の『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』を改題したみたいです。なんだかそのものズバリなタイトルですね。 『赤朽葉家の伝説』桜庭一樹 製鉄業を営む旧家の女性たち三代にわたる物語です。 日本の歩みを背景に、製鉄業と赤朽葉家の栄枯盛衰、万葉、毛鞠、瞳子の人生が語られます。万葉の話が一番面白かった。 ただですね、物語の随所に時代の風俗が羅列されていて、それを流し読みしているうちに、毛鞠や瞳子の話までも流し読みになってしまったことは正直に告白します。 『うそうそ』畠中恵 「しゃばけ」シリーズの第五弾。 若だんなが箱根へ湯治に出かけますが、なんと誘拐されてしまいます。 さすがに道中は徒歩でなく、船と駕籠でした。病弱な御曹司ですもんね。 妖怪たちは相変わらず楽しいし、付喪神のお獅子はか…

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『百鬼夜行抄 (15)』今市子

百鬼夜行抄(15) (眠れぬ夜の奇妙な話コミックス)今 市子朝日ソノラマ 2007-01-23by G-Tools 誰のセリフなのか分かりにくいところもありましたけど、怖さと笑いのバランスはよかった。律と一緒にへらへらしながら読み終えました。でも律の笑顔って、開さんの処世のための笑顔と同じですね。「野に放たれて」でショウちゃんに愛想をふりまきながら、核心をつくときにはいきなり高圧的なのにちょっと笑いました。「悪魔っ子」呼ばわりだし。 しっかし晶ちゃんと三郎さんの件はまだ決着がつかないのか。そろそろかなーと思っていたのですけども。

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百鬼夜行抄特集号

ネムキ 増刊 百鬼夜行抄特集号 2006年 09月号 [雑誌]朝日ソノラマ 2006-08-21by G-Tools 単行本派なんですけど、買ってパラパラ読んでしまいました。 書き下ろしが1編と、文庫1~7巻の中から今さんが選んだ9編が収録されています。コメントとちょろっと「あとがきマンガ」もついてますよー。それと単行本と文庫の収録書名が書かれた作品リストは便利かも。 書き下ろし「異界の水守り」は、大雑把にいうとお盆ネタです。 収録作では「鬼の居処」や「鬼の嫁取り」などの、蝸牛の若い頃の話はやっぱりいいです。ほのかに時代色もありますし。 今まであんまり気にしてなかったけど、蝸牛の姉の水脈さんには七人も子供がいたんですね。(「雨夜の衝立」) そっちの皆さんは霊感がないんでしょうか…などと妄想してみます。 収録作以外では、古い儀式が入ったような話も好き。リストを眺めて思い出せるのでは、単行本2巻の「逢魔の祭」とか、単行本12巻の「水辺の暗い道」とか。私は北海道なので、あまり古い習慣に接することがないというのもありますかね。

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