少しずつ読むディーネセンの物語

2009/12/2211:13
本によってはイサク・ディーネセン、カーレン・ブリクセンなどいろいろ名義がありますが同一人物です。念のため。 『アフリカの日々』は良い作品ですが個人的にはあまりピンときませんでした。しかし書名に惹かれて手に取った『運命綺譚』にやられました。続けて読んだ『バベットの晩餐会』で決定的になりました。 聖書や神話がさりげなく配され、現実からはすこし浮遊した、おとぎ話のような雰囲気を漂わせる物語。けれど文章はとても理知的です。高まる緊張のなかにもユーモアがあります。そんなとこ..

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『アンナ・カレーニナ(4)』トルストイ

2008/12/2412:23
アンナ・カレーニナ〈4〉 (光文社古典新訳文庫)望月 哲男 光文社 2008-11-11by G-Tools 『アンナ・カレーニナ(1)(2)』『アンナ・カレーニナ(3)』の続きです。 全4巻、読み終わりました。 アンナとリョーヴィンは、この巻で初めて対面するんですね。すごく印象に残る場面でした。 『アンナ・カレーニナ』には二組の恋愛の行方を追う他にも、読み所がたくさんあります。 舞踏会や競馬などの上流階級のイベントの空気。登場人物の性格や立場を掘り下げたり、..

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『幻談・観画談』幸田露伴

2008/09/0912:03
「幻談」 釣り好きの侍と船頭が海上で遭遇した不思議とは…。 「観画談」 心身を病んで保養の旅に出た苦学生が、寂れた寺で一枚の絵に出合う。 収録されている五編の中では、表題にもなっているこの二つの作品が特にいいです。 飄逸ともいえる語りに乗せられて、釣りの薀蓄とかぼろっちい山寺の様子を読んでいるうちに、いつしか景色は空の明るさが海へ溶け込むような薄闇へ、又はどしゃぶりの雨の中の草庵へと移り変わり、こちらとあちらのあわいへ、現実と超現実の境に立つ瞬間へ到達します..

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『銀漢の賦』葉室麟

2008/02/1311:50
銀漢の賦葉室 麟文藝春秋 2007-07by G-Tools おおー、面白かったです。 かたや家老、かたや郡方の小役人。地方の小藩で、少年のころ同じ道場に通う友であった武士が、身分も隔たり、またある事件がもとで疎遠になっていたものの、お家騒動をきっかけに再びまみえることになる…という話です。 親の仇を討ち藩政を正そうという気概で家老にまでのぼった将監。飄々としていて実は情に厚い源五。それともう一人、百姓でありながらも勉学に勤しみ、身分を越えて二人の友であった十蔵。..

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『幸田文 ちくま日本文学』

2008/01/2211:42
幸田文 [ちくま日本文学005] (ちくま日本文学 5)幸田 文筑摩書房 2007-11-20by G-Tools おうっ。収録作のひとつ「みそっかす」の眼差しの厳しさに打たれます。優れた姉と跡取りである弟の間に生まれたみそっかす。そういう寂しさと僻んだ心を引きずって、周りを眺めた少女時代の記憶が綴られています。おばあさんや生母の姉のオバ公さん、やがて来る父の後妻、そういった自身に連なる人々の像が強烈にたちあがります。そのなかで父と継母の不和がもたらす家庭内の緊張、家族の..

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『バルタザールの遍歴』佐藤亜紀

2007/12/2212:44
バルタザールの遍歴 (文春文庫)佐藤 亜紀文藝春秋 2001-06by G-Tools あらー、面白かったです。もっとお耽美な小説かと誤解してました。 ひとつの肉体を共有する双子、メルヒオールとバルタザールの物語です。大戦間近のヨーロッパで、ウィーンの没落しつつある貴族の跡取りとして生まれた彼らが、自らの放蕩と叔母の策略、その他もろもろの理由から、大変な勢いで落ちぶれていきます。 女に逃げられてめそめそするのも、肉体から抜け出し非物質的実体となって歩き回ったりする..

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