『かぼちゃケーキを切る前に』リヴィア・J・ウォッシュバーン

かぼちゃケーキを切る前に (ランダムハウス講談社 ウ 3-2 お料理名人の事件簿 2) (ランダムハウス講談社文庫)赤尾 秀子 ランダムハウス講談社 2008-06-10by G-Tools 『桃のデザートには隠し味』に続く、シリーズ第2弾です。 キャロリンの知り合いに頼まれ、小学校の秋祭りを手伝うことになったフィリス。チャリティー・オークションに出品するデコレーションケーキと、ヘルシー・スナック・コンテストのためのお菓子づくりに腕を振るいます。しかし秋祭りの当日、校内では事件が起きて…という話。 このシリーズ、殺人事件は起きるけれど、それ以外は日常生活に密着した内容です。なので、日本との習慣や感覚の違いを感じるのが面白かったりします。もちろん共通したところも。 小学校の秋祭りは、こちらで言うところの、いわゆるPTAの活動であり、資金集めの場でもあるわけです。本ではPTO(保護者教師機関)となっています。 みんなPTOの役員になりたがらないし、ましてや会長なんてなおさらだ、というのはいずこも同じですね。会議でのもめごとや、気まずい空気には、苦笑がもれてしまいました。 フィリスが作るのは、ハロウィンのかぼちゃランタンの形を模したケーキです。 私は生地にかぼちゃが入っていると思ったのですが、1グラムたりとも入っていませんでした。かわりに着色料が入っています。そりゃあ着色料だと鮮やかなオレンジに発色するだろうけど……。表面に塗るのは、砂糖とバターなどを合わせたフロスティン…

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『桃のデザートには隠し味』リヴィア・J・ウォッシュバーン

桃のデザートには隠し味 [お料理名人の事件簿1] (ランダムハウス講談社 ウ 3-1 お料理名人の事件簿 1)赤尾秀子 ランダムハウス講談社 2007-12-01by G-Tools テキサス州の小さな町に住むフィリスは、元歴史科の教師で未亡人。現在、自宅を下宿にして、友人をはじめとする退職した教師ばかりに部屋を貸しています。フィリスにとって、町で開かれるピーチ・フェスティバルのハイライトは料理コンテスト。今年こそ優勝するぞ、と意気込んで参加したフィリスでしたが、彼女の作ったピーチ・コブラーを口にした審査委員長が急死して…という話です。 料理バトルがもっとバリバリに繰り広げられるのかと思っていたのですが、料理ばかりが突出しているのではなく、老人たちの日常や事件の謎解きがバランスよく配置されたコージー・ミステリでありました。 フィリスの作るのは、田舎のあたたかい家庭料理という感じ。下宿人で料理のライバル、キャロリンの作るお菓子は、見た目にも華やかさがあって、コンテストで二年続けて優勝するのも頷けます。 ふと思ったのは、主人公フィリスの人物像、家庭像は、アメリカ人が想像する健全さを反映させた健全さ(わかりにくくてすみません)なのかなあと。元教師という経歴もあるけれど、ちゃんと礼拝にも行って、礼儀正しい息子がいて、寛容で。大統領選になるとアピールしまくる、善き父善き母像と同質のものを感じます。 フィリスたちに男性のマチスモ的な振る舞いを皮肉らせながら、優しくて理解がある紳士を登場させ…

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『夏期限定トロピカルパフェ事件』米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)米澤 穂信東京創元社 2006-04-11by G-Tools 小市民シリーズ第二弾、『春期限定いちごタルト事件』の続編ですね。 高校二年生になった小佐内さんと小鳩くんの、夏休みの事件です。 <小佐内スイーツセレクション・夏>計画の、これでもかという甘味の波状攻撃には参りました。ああもう、ケーキ食べたい。まちのお菓子屋さんの中から、小佐内さんによって選ばれた、とっておきのスイーツを味わいつくすという計画です。これに小鳩くんが引きずりこまれるのでありました。 小佐内さんは「狼」と形容されているけれど、牝豹だな。音をたてずに忍び寄り、狙った獲物は逃さない牝豹です。 これ、ほのぼのと楽しく読ませて謎解きをしてああすっきり、で終わっても面白いのですよきっと。そこにとどまらず、主人公の被った仮面も剥ぎ取って本性を暴くわけです。そういう容赦のなさ、キツさも作品の全体像にきちんと組み込まれて機能しているのがすごいですね。こういう破壊力は好きなので、これからも期待してます。未読の作品もぼちぼちと味わってみようかな。

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『ショコラ』ジョアン・ハリス

ショコラ (角川文庫)Joanne Harris 那波 かおり 角川書店 2002-06by G-Tools フランスの小さな村。カーニバルの最中にやってきた母娘がチョコレートの店を開きます。母ヴィアンヌの作るチョコレートは、因習にしばられどこか閉鎖的な村に活気を与え、人々の心をゆるやかに解き放っていきますが…。 チョコレートの魔法ひとつで村人たちが幸せになりめでたしめでたし、っていうだけの話じゃないんですね。甘やかで香しいささやかな喜びの影には、孤独と深い哀しみが横たわっています。村人たちもそうだし、奔放に見えるヴィアンヌ自身も、放浪の人生を歩んだ母の呪縛と、どこかに根をおろし自分の居場所を求める気持ちの間で揺れ動いています。敵役のレノー司祭も然り。その苦しみを軽妙な語りでくるんで、ほろ苦い味わいに料理してあります。 ヒロインよりレノー司祭や年寄りたちに魅力を感じます。 レノー司祭が誘惑に抗い悶々とする姿には忍び笑いがもれてしまいます。禁欲の果てに、ほとばしる欲望を研ぎ澄まされた感覚で表現する彼の姿に、あんたはグルメ評論家か、とつっこまずにはいられませんでした。

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イクライクラ♪

食欲の秋に突入です。 生筋子が100グラム198円だったので、イクラ醤油漬けを作りました。530グラムぐらいのパックで1000円ちょっと。自分でつくると好きなだけ食べられて、幸せになれます。 作り方 生筋子を塩を入れたぬるま湯に浸し、薄皮から卵をはずします。 卵を水ですすいで残ったかすを流し、ザルにあげて水分を切ります。 あとはお好みで味付けをしてなじませたら完成。 私は市販の調味料をつかってしまいます。 自分で味をつける場合は、生筋子200グラムに対して醤油大さじ2、酒大さじ1、みりん少々という感じでしょうか。あと出汁を入れる人もいますね。お好みで調節してくださいませ。 残ったら冷凍保存できます。食べるときは冷蔵庫に移して解凍。

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『日暮らし』宮部みゆき

『ぼんくら』は以前に読んだのですが、細かい内容は忘れ去っています。でも大丈夫でした。←おい 同心の井筒平四郎、その甥で超美少年の弓之助、岡っ引きの政五郎、手下で異様に額が広くて記憶力が抜群の少年・通称「おでこ」らが事件を解決していく時代物です。 大店の湊屋に関係した事件がメインなわけですが、お家の複雑な事情に平四郎たちは翻弄されます。 自分のやれることで生計をたてて、毎日を食っていく。こんな風に考えれば人生なんて単純だと思えるのに、なかなかそうはいかないです。本書の登場人物たちも、欲とか誤解とか疚しさから道をはずれていってしまう。それもまた人なのですけどね。 みなが他人を思いやり、努力したことが報われて、という世の中は理想でしかないと解っていても、どこかにそうあって欲しいと願う気持ちがあるのですよ。それを盛り込んであるのが、好きなところかな。

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