『大鏡』

406158491X大鏡
保坂 弘司
講談社 1981-01

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現代語訳をした保坂弘司の序文でいきなり笑いました。
『大鏡』は藤原氏、特に道長の栄華を物語っていて、権力闘争に明け暮れる貴族たちの横顔がうかがえます。で、王朝の最高の男性文学と持ち上げ、こんな風におっしゃる。
現代の政界・財界・学界を問わず、生きて戦う男性の、その生きざまを示唆するバイブルである

平安版プレジデントかよ、と。
内容も変に力んでいたらどうしようと思ったけれど大丈夫でした。人名や官職名なども段ごとに「史実」として解説がついていて、大変読みやすいです。

道長の栄華の由来は皇室とのかかわりなので、文徳天皇から後一条院までと、歴代の大臣の話が列伝風に登場します。あの帝の話にこの人が、この大臣の話にあの人が、といったぐあいに、同じ人物を多面的に捉えているのは面白いです。
なかでも花山院は、子供じみた奇矯な振る舞いのせいで風変わりな人と評価されています。でも絵や建築には独自のセンスを発揮しています。例えば走っている車の絵は、車輪に薄墨で動きの効果が加えられていて、本当に走っているように見えたらしいです。ちょっとヲタな人だったのかも。漫画を描けばよかったのでは? 生まれるのが千年早かったんですよ。現代だったらサブカルの分野で人気者になれたかもしれません。保証はできないけど。

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