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『歪み真珠』山尾悠子 ほか

歪み真珠作者: 山尾 悠子出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2010/02/25メディア: 単行本 山尾悠子を読むのはこれで二冊目です。 以前に読んだ『ラピスラズリ』は小説世界を把握するのに時間がかかったけれど、最後におおっ! という情景にたどりつきます。 『歪み真珠は』15の掌篇を集めたもので、その中の「ドロテアの首と銀の皿」は『ラピスラズリ』の冬眠者に連なる話でした。…

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『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生

パクス・ロマーナの時代が終わると、北アフリカは徐々にイスラム化され、ヨーロッパの沿岸地域はイスラム教徒による海賊に襲われるようになります。破壊と掠奪が行われ、拉致された人々は奴隷にされます。 7~18世紀ごろまでこの状態が続いていたことに驚きます。やれ十字軍だルネサンスだと騒いでいたころも、ヨーロッパの名もない人々が鎖に繋がれて海賊船の漕ぎ手をさせられたり、奴隷として北アフリカに送られてい…

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『オルメードの騎士』ロペ・デ・ベガ

オルメードの騎士 (岩波文庫)作者: ロペ・デ ベガ出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/08メディア: 文庫 スペインの劇詩人ロペ・デ・ベガ(1562~1635)による戯曲です。 オルメードの騎士ドン・アロンソは、メディーナの町で美しい娘ドニャ・イネースを見初め、魔女ファビアに恋の取り持ちを頼みます。二人の気持ちは通じあいますが、イネースに恋する騎士ドン・ロドリーゴは…

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『渡りの足跡』梨木香歩

渡りの足跡作者: 梨木 香歩出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/04メディア: 単行本 北海道は屈斜路湖の風景を上空から見下ろし、女満別空港に降り立つところからエッセイが始まります。 知床やカムチャツカなどの渡り鳥の飛来地を巡り、今いる場所を離れて彼方へと渡る鳥たち、そして人間たちに思いを馳せます。 私はこの本に図説はいらない派。確かに渡りのルートを示した図や鳥の写真…

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バルザックとコッパードを読了

小説を読む気にならなくて、新書をつまんだり日本の古典の再読などをしていました。少し気分が変わってきたので、短編集をぽつぽつと読んでいます。光文社の古典新訳文庫にはケチをつける人もいるけれど、気軽に手にとれるのはいいと思いますよ。 『グランド・ブルテーシュ奇譚』バルザック バルザックの長編をそのうち読むつもりです。その前に短編に挑戦。四つの短編とエッセイを一つ収録。 いいなあと思…

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『儒林外史』呉敬梓

中国古典文学大系 (43) 儒林外史作者: 呉 敬梓出版社/メーカー: 平凡社発売日: 1968/10メディア: 単行本 科挙にふりまわされる人々を皮肉った章回小説です。 「儒」とは学ぶ者を指すそうな。具体的には、科挙に合格すれば高位高官の地位や富が得られるので、そのために学ぶ人を指します。 科挙の試験に必要なのは、経書の知識と八股文を作成する能力で、一般的な教養とは無縁なものです…

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『壊れても仏像 文化財修復の話』飯泉太子宗

壊れても仏像―文化財修復のはなし作者: 飯泉 太子宗出版社/メーカー: 白水社発売日: 2009/05メディア: 単行本 著者は財団法人美術院国宝修理所のスタッフを経て、現在はNPO法人を主宰し仏像の修復活動を行っています。 実際に修復に携わる立場から、修復の過程や文化財をとりまく状況を紹介しています。 仏像の素材と構造、どんな風に壊れそして修復するのかを、プラモデルなど身近な…

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『冬物語』カーレン・ブリクセン

冬物語作者: カレン ブリクセン出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1995/01メディア: 単行本 以前に読んだ『運命綺譚』にも通う、人の運命をめぐる物語。 『冬物語』はデンマークを舞台にした話が多いです。 人を殺してしまった少年水夫、普仏戦争を前にドイツで逮捕されたフランスの貴婦人、古のデンマーク王など。彼らが自分が自分であることを受け入れ運命を全うできるかどうか、そんな…

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『高慢と偏見』ジェイン・オースティン

田舎の地主の次女エリザベスと、家柄も財産も容姿も申し分ないダーシー氏が、誤解や格の違いに基づく偏見のためにいろいろありながらも結ばれるという恋愛小説です。 お堅いタイトルだし恋愛小説だし、と今まで読まなくて損した気分です。 財産があって働かなくても食べていけるジェントリー階級でも、さらに格差があります。 あちらの家が上だの、そちらの家が下だのと人が判断する基準を事細かに描いているの…

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『秘密の花園』ノート 梨木香歩

『秘密の花園』ノート (岩波ブックレット) (岩波ブックレット NO. 773)作者: 梨木 香歩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/09メディア: 単行本(ソフトカバー) バーネットの『秘密の花園』を読み解くためのテキストです。 『秘密の花園』はインドで親に顧みられることなく育った少女メアリが、両親の死後イギリスの親戚に引き取られ、「秘密の花園」を見つけ再生す…

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今年はどんな本が読めるかな

気がつけばもう三日。元日の午前中までは元気だったのに、そのあと体調が悪くなり寝込みました。どうなってるの私。おせちもほとんど食べられず、本も読めずな正月でした。 『やんごとなき読者』アラン・ベネット そんな弱った身体でも読めた一冊。もしエリザベス女王が読書に夢中になったら、というフィクションです。 本にのめり込むことや、階級社会の頂点に立つ人物から見た読書、そして周囲の反応がシニカ…

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