『戦下のレシピ』『それってどうなの主義』斎藤美奈子

戦下のレシピ―太平洋戦争下の食を知る (岩波アクティブ新書)
『戦下のレシピ』斎藤美奈子

戦前から戦中の食生活の変遷を、当時の婦人雑誌に掲載された料理記事を参照しながら追っていく本です。
多量の米(含む雑穀)に少しのおかず。それが基本だった庶民の食生活が、大正期以降、日本人の体位向上をはかるべく西洋式の栄養学がとりいれられて変わっていきます。
婦人雑誌が広めたのは二つの概念です。ひとつは前述の「栄養学」、もうひとつは「家庭料理イデオロギー」です。手作りの料理は母の愛情のあかしという、いわゆる手作り神話ですね。
ものがなくなった戦中にも、やけに手間がかかったあやしげなレシピが登場するのは、そんな背景があるのかと妙に納得します。

飢えて植物の根まで掘って食べた、なんて話を一般的に聞いたりしますけど、もっと具体的に、配給される物の量が減り、品質も劣悪になり、家畜の餌にしかならないような生大豆粉や魚粉を使ったり、どんぐりを利用するに至る経緯を見せられると、「食糧がなくなることが戦争なのだ」という斎藤美奈子の言葉が胸に突き刺さってきます。


それってどうなの主義
『それってどうなの主義』斎藤美奈子

こちらはあちこちに掲載されたエッセイなどをまとめたものです。
朝日新聞の迷走ぶりや、メディアの中にしかないバーチャルな日本語(吹き替えや翻訳で登場する「~だわ」「~てよ」などの、今で言う「おねえ言葉」)へのつっこみが楽しいです。
でもこの人は時事問題より文芸関係のほうが面白いし、ひとつのテーマで一冊になった本のほうがインパクトがあるかなと思います。


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