2008年02月13日

『銀漢の賦』葉室麟

4163262008銀漢の賦
葉室 麟
文藝春秋 2007-07

by G-Tools

おおー、面白かったです。
かたや家老、かたや郡方の小役人。地方の小藩で、少年のころ同じ道場に通う友であった武士が、身分も隔たり、またある事件がもとで疎遠になっていたものの、お家騒動をきっかけに再びまみえることになる…という話です。

親の仇を討ち藩政を正そうという気概で家老にまでのぼった将監。飄々としていて実は情に厚い源五。それともう一人、百姓でありながらも勉学に勤しみ、身分を越えて二人の友であった十蔵。この三人の過去と現在を紐解いて、政争の背景から人物たちの善悪正邪を超えたところで動く心のありようまでを、鮮やかに描き出します。

こういうタイプの話にありがちな、気が利いた格言連発、感傷垂れ流しがないのがよかったです。作品内の自己陶酔ほど気持ち悪いものはないと思うので。
娯楽性もあるし、人物も堅苦しいだけではない軽みもあって、読後感がいいです。源五が憤慨しながら、将監宛ての長文の絶縁状を書く姿なんか目に浮かぶようですよ。
posted by nao at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 本_2008年 | 更新情報をチェックする
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