『源氏物語を読むために』西郷信綱

4582765343源氏物語を読むために (平凡社ライブラリー)
西郷 信綱
平凡社 2005-04

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もっとお堅い本かと思ったら、意外に読みやすかったです。でもこの本は源氏物語を読んだことがあって、内容をある程度把握している人向けですね。

そもそも源氏物語は、紫式部が宮廷とその周辺にいる女性読者に向かって書いたものです。貴族の子女が「きゃー」とか「わー」とか思いながら読んだのでしょうね。だからといって軽んずることなく、さりとて権威主義にも陥らず、時代背景や端役の意味するところを、具体的にポイントを押さえて読解していきます。
例えば平安中期には貴族はみな仏法に入れ込んでいたわけです。仏法を禁断して暮らすことは後生をおろそかにすることで、重い罪であるとまで考えられるようになります。私はそれをなんとなくわかったように思っていました。でも娘と一緒に伊勢に下っていた六条御息所の言葉を引いて、
仏縁を離れた宗廟伊勢は今や「罪深き所」へと逆転したのである。
と指摘されて、そんなに深刻だったのかー、全然わかってなかったよ、すまなかった、と頭を下げた次第です。


主要な登場人物の運命という縦糸に、乳母子や女房といった端役たちの動きという横糸が組み合わされ、玄妙な人間地図が織り出されている、そんな所に気を配りながら改めて源氏を読んでみたいです。


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