『鬼の橋』伊藤遊

4834015718鬼の橋 (福音館創作童話シリーズ)
伊藤 遊
福音館書店 1998-10

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弘仁五年(814年)貴族の嫡男である篁は、妹が転落死した古井戸からあの世の入り口へ迷いこみ、既に死んだはずの坂上田村麻呂と出会う。訊けば死後も「鬼から都を守れ」と帝からおおせつかり、あの世への橋を渡ることが出来ずにいるという。
将軍に諭されこの世に戻った篁は、五条橋で少女・阿子那と、橋を渡ってきた大男・非天丸と出会った。

君のひざまくらで本を読むさんで紹介されていました。
もう、こういうの大好きです。
平安時代に実在した人物、小野篁の少年期を著者が自由に想像して描いた物語です。
いろいろ伝説のある人ですが、学校では法律書「令義解」を編纂した一人と習いましたね。←今調べた

少年から大人になるのは一足飛びではなく、連続した時間の中での変化だと思うのです。大人と子供、分断された世界のようですが、自分をとりまく世界の見かたが違うだけです。
ただその変化を感じる節目は確かに存在し、この時代の男の子であれば「元服」が節目の一つになるのでしょう。

篁が様々な痛みを持つ人と出会い、受け入れ、与えることをおぼえて成長していく過程や、将軍、阿子那、非天丸たちの境遇を表すのにも橋が象徴的に使われています。
おどろおどろしい中にも優しい肌触りのある、太田大八の絵がとても良かった。


この記事へのコメント

  • しおん

    TBありがとうございました。
    自分が紹介した本を共感してもらえるって、嬉しいことですね!
    紹介もしてくださって、これまた嬉しいです。

    伊藤さんの「えんの松原」もいいですよ~。機会があったらぜひ!
    2005年06月30日 13:44
  • nao

    「えんの松原」ですね?φ(..)メモメモ・・・ぜひ読んでみたいです。

    いま「つくも神」が手元にあって、これから読む予定です。
    カバーがかわいい。(笑)
    2005年06月30日 16:09
  • kumanomi_s

    うわ、これはなんかそそられる設定ですね~。探さなくてわ。
    2005年07月01日 14:15
  • nao

    これも児童書ですね。
    鬼が出てきて、昔話みたいな趣でした。
    2005年07月01日 19:00
  • KOROPPY

    こちらのレビューがきっかけで、この本を読みました。
    素敵な本との出会いをありがとうございました。
    2005年08月17日 15:47
  • nao

    >KOROPPYさん
    こちらこそ有り難うございます。
    移転前のブログでお世話になり、KOROPPYさんのブログは時々拝見しています。

    平安期が舞台の本は、なんだか好きなのです。伊藤さんの作品では『えんの松原』もありますが、こちらの『鬼の橋』のほうが万人向けかもしれません。
    2005年08月18日 09:47
  • catseye

    伊藤遊さんを検索したら、ここに着ました。NHKの週間ブックレビューで紹介され、「つくも神」の表紙のカエルにやられて(カエル、かっぱ、とても好きです)夢中で読んだら、おもしろい!「鬼の橋」もよかった~あこなの死を悔やむ篁に将軍が言う「ならばかかえて生きていけ」にはグッときました。「えんの松原」も読みたいと思います。今読み終えた私のお奨めは、「マツの木の王子」です。1960年代にキャロル=ジェイムスが書いたお話、30年経って、復刻されました。出会って人生(木なのですが)を終えるまでずっと一緒で幸せだった2人のジンとくるファンタジー。舞台は外国ですが、本の探偵の赤木かん子さんが帯を書いてます。これは子どもにも紹介したいと思っています。(あ、私は小学校で絵本の読み聞かせボランティアをやってるんです)あらま、長くなってしまいすみません。
    2006年02月27日 12:38
  • nao

    >catseyeさん
    長いコメントもOKですよ。
    伊藤さんの本がお好きでしたら「えんの松原」もぜひ。
    陰影のある話で、登場人物もなかなかよかったです。
    それと海外のファンタジーはあまり縁がないのですけど、機会があれば「マツの木の王子」も読んでみたいです。紹介ありがとうございました。
    読み聞かせをなさっているのですね。人に読んでもらうのは、自分で読むのとはまた違う良さがあって、私も好きでした。
    2006年02月27日 20:23

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  • 『鬼の橋』 伊藤遊
  • Excerpt: 実在した小野篁(たかむら)の少年時代を描いた小説。 タイトルからして怖い話かと思っていましたが、むしろあたたかい優しさがあります。 読みやすい文体だと感じていたのですが、第3回児童文学ファンタジー大賞..
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  • Tracked: 2005-08-17 15:43