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大足で犬肉小町とよばれる美女の眉娘は嘆きます。父親が舅によって処刑されようとしているのです。
清朝末期、ドイツは山東省を租借地として膠済鉄道を敷設します。民衆を組織し、ドイツに抵抗した眉娘の父親・孫丙は捕らえられ処刑されることに。眉娘は県知事の銭丁に父親の命乞いをしますが、実はこの二人はいわゆる不倫関係なのでありました。
孫丙を処刑するのは刑部大堂の首席処刑人であった趙甲。眉娘の亭主・小甲の父親でもあります。そして処刑の助手をつとめるのが屠畜を生業とする小甲で…という話。フィクションですが、西太后や袁世凱といった実在した人物も登場します。
刑罰の描写が見せ場のひとつ。これが映像だと直視できないだろうけど、文学作品だと味わいになります。不謹慎ながら娯楽の対象になります。芸術的ですらあります。いやまあ実際に残酷な刑罰は行われ、事細かに記録されたわけですが。
もうひとつ印象にのこるのは、民衆のひとりひとりの息遣いとエネルギーです。
西太后にも讃えられた趙甲は、処刑人は手当ても無く刑部の員数にも入らないけれど、国家の法規を最後に実施するのは我々だという自負があります。
もう一人、孫丙の前身は地方芝居の座頭。ドイツ人によって家族を奪われ故郷を蹂躙されて、義和団の頭目となっていきます。
小説は語り物風になっていて歌唱劇の一節が挿入され、彼らを筆頭とした民の哀切と、大陸の息吹きが行間からあふれてくるように感じられました。




