『ローマ亡き後の地中海世界』塩野七生

パクス・ロマーナの時代が終わると、北アフリカは徐々にイスラム化され、ヨーロッパの沿岸地域はイスラム教徒による海賊に襲われるようになります。破壊と掠奪が行われ、拉致された人々は奴隷にされます。

7~18世紀ごろまでこの状態が続いていたことに驚きます。やれ十字軍だルネサンスだと騒いでいたころも、ヨーロッパの名もない人々が鎖に繋がれて海賊船の漕ぎ手をさせられたり、奴隷として北アフリカに送られていたのですね。

キリスト教のヨーロッパ諸国はイスラムに脅威を感じていながらも、ヨーロッパでの内向きの勢力争いに忙しく、積極的に海賊排除に動かなかったように思えます。地位もお金もない人が連れ去られても事件にならないでしょうし。
ただ、アラブvsヨーロッパ、イスラム教徒vsキリスト教徒のような、大きな括りの攻防の影に、軍事力によらない奴隷救出活動を続けていた団体もあったそうな。

千年あまりの時間と広い地中海世界を描くので、概略になってしまうのは仕方ないかな。
前述の救出団体の話やマルタ島の攻防、スルタン・ムラード三世の生母になるヴェネツィア貴族の娘チェチリアなどの人の物語になると面白いです。

執筆にあたって著者は「地中海の真中から前後左右を見ている感じ」と述べています。でも塩野七生はローマ世界やコスモポリタン的な考えに価値を置いている人だと思うので、そのへんは頭に入れて読む必要はあります。


ローマ亡き後の地中海世界 下

ローマ亡き後の地中海世界 下

  • 作者: 塩野 七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/01
  • メディア: 単行本




ローマ亡き後の地中海世界(上)

ローマ亡き後の地中海世界(上)

  • 作者: 塩野七生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/12/20
  • メディア: 単行本




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