科挙にふりまわされる人々を皮肉った章回小説です。
「儒」とは学ぶ者を指すそうな。具体的には、科挙に合格すれば高位高官の地位や富が得られるので、そのために学ぶ人を指します。
科挙の試験に必要なのは、経書の知識と八股文を作成する能力で、一般的な教養とは無縁なものです。厳しい競争と偏った学問で歪んだ人物がたくさん出てきます。事大主義の俗物、名士を気取って文無しになる者。でもお人よしの馬二先生なんかには「幸あれ」という気分にもなります。
回ごとに登場人物と話がつながっていく形式で、知識階級を点描してるのかと思いきや、いつのまにか何十年も時が流れ時代が変わっていきます。最終回には名士たちは姿を消し、書や音楽、詩をたしなむ庶民ばかりが描かれています。こういう時代の遠近感が印象に残りました。
知識階級、いわゆる読書人の類型が並べられた地味な話ではあるけれど、皮肉にふふっと笑ったり、同時に描き出される風景風俗庶民の姿に、当時の社会の様子が垣間見えたりします。
ちなみに借りてきた平凡社の古い全集の翻訳は読みやすかったです。
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