『冬物語』カーレン・ブリクセン


冬物語

冬物語

  • 作者: カレン ブリクセン
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/01
  • メディア: 単行本



以前に読んだ『運命綺譚』にも通う、人の運命をめぐる物語。
『冬物語』はデンマークを舞台にした話が多いです。

人を殺してしまった少年水夫、普仏戦争を前にドイツで逮捕されたフランスの貴婦人、古のデンマーク王など。彼らが自分が自分であることを受け入れ運命を全うできるかどうか、そんな思想が話の底に共通して流れています。

物語の中に物語が配置され、人の夢とあこがれ、そして悲しみが、外側と内側の物語の間にこだましているように感じました。
自身を欺いたり運命から逃げ続ける人生は虚ろです。しかしたとえ向かう先が悲劇であっても、人が自分自身になり運命を待つ場面は、瞬間が無限に引き伸ばされ、不滅の輝きをもって描かれています。

話にぐっと入り込ませておいてふっと力を緩めるような緩急のつけかたや、物語の深度を自在にあやつるのが上手いんですよね。
森の中でのひそひそ話、凍りつく海峡の氷のうねり、デンマークの自然が物語内に息づいているのもいいです。


収録作品をメモ。
「少年水夫の物語」
「カーネーションをつけた青年」
「真珠」
「ゆるぎない奴隷所有者」
「エロイーズ」
「夢見る子」
「魚――古きデンマークより」
「アルクメネ」
「ペーターとローサ」
「嘆きの畑」
「心のためになる物語」


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