『戦争と平和』トルストイ


戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

戦争と平和〈1〉 (新潮文庫)

  • 作者: トルストイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/03
  • メディア: 文庫



一度読んだぐらいでは到底把握できない作品なので、いつか再読するつもりです。通読して頭に浮かんだことを書いておきます。

歴史とは一人の英雄によって作られるものではなく、無数の人々の行動から成り立つものである。
この歴史観を明らかにするために、話の中心となる貴族の家庭から農民や一兵士にいたるまでの大勢の登場人物の行動によって、ナポレオンがロシアに侵入してきた時代を描きます。

トルストイの作品は登場人物がみな生きているのがすごい。
主要な登場人物のピエールを取り上げてみます。貴族の庶子であるピエールは、感じやすく、善徳や人類愛を夢想しながら、意志薄弱ですぐ酒に溺れてしまうような人。自分の内面にばかり没入して周りの人が見えていないし、そんなに清らかなのが良ければ嫁のことを云々する前に、自分が山にこもって滝にでも打たれればいいのに、などと私は思って同調はできないのです。
そんな人でも(すいません)ピエールが感じている精神と肉体と外界との不調和を、私が一瞬体感する場面があって、これだけでも読んで良かったと思いました。

トルストイの作品を読んでいると、作家本人が気になってしょうがないです。
『戦争と平和』を執筆したのは40歳前後ですが、後世に生きる私は、その後のトルストイの作品や生涯を知ることができます。本作でもピエールとアンドレイ公爵にトルストイ自身が投影されていますが、その他にも、理想の家庭と主婦、禁欲主義などの彼の思想がいろんな人物に託されているように思えて、身悶えしました。


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