『未見坂』と『聖家族』を読了

未見坂
『未見坂』堀江敏幸

とある地域に暮らす人々の日常を描いた連作短編集です。『雪沼とその周辺』に繋がる話ですね。
未見坂がある地域の描かれ方は、住民も高齢化した古い市営住宅があって、幹線道路沿いには大型スーパーがあり、若いファミリーが住む新興住宅地もできて…という、時が止まったような『雪沼~』よりは少し現実寄り? な感じがします。なんとなく『郊外へ』が示す都心と郊外のような、都市と地方という関係が無縁ではない場所に思えます。両親の不和で、一時的にこの地域に住む祖母や親戚の家に預けられた子供の視点の話も多いですし。
でも不幸とか悲惨とかではなく、あくまでも静かに穏やかに描かれる、人と人との間に流れる空気の揺れとぬくみをかみしめる本でした。



聖家族
『聖家族』古川日出男

(妄想の)東北の歴史、狗塚家の歴史、というか記憶を綴った、ながーい本です。
古川日出男は『アラビアの夜の種族』と『ベルカ、吠えないのか?』しか読んでいないのですが、物語の目の付け所は非常にいいと思うし惹かれます。ただ、うーん、私とは相性がよくないですかね。倒置法を多用した語りと、歌謡曲の歌詞みたいな言葉の切り方にちょっと馴染めないのよね。
『聖家族』は、鳥居のイメージと東北の言葉が効果的で、家族の記憶の部分は特に面白く読めました。


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