『アンナ・カレーニナ(1)(2)』トルストイ

アンナ・カレーニナ〈1〉 (光文社古典新訳文庫)アンナ・カレーニナ〈2〉 (光文社古典新訳文庫)

全4巻のうち、やっと半分まで来ました。さすがに長い。でも読みやすいし面白いです。

高級官僚の妻アンナと青年将校のヴロンスキー伯爵、公爵令嬢のキティと地主貴族リョーヴィン。このふたつの恋愛を軸に、男女の意識から家族観や結婚制度、生活をとりまく政治と宗教まで、19世紀後半のロシアの姿を丸ごと小説にしています。

色男のヴロンスキーはキティに粉をかけながら、アンナと出会って恋に落ちてしまいます。アンナは夫のカレーニンとの間に男児をもうけていますが、夫婦関係にはどこか虚しさが漂っています。
一方キティはリョーヴィンが好意を寄せていることを知りつつ、ヴロンスキーに魅せられて、リョーヴィンのプロポーズを断ります。そして直後にヴロンスキーの心変わりを知って傷つくのです。

いやー、小説の醍醐味がぎゅうぎゅう詰まっていますよ。
視線、呼吸、些細なしぐさから、人物の心理が手に取るように伝わってきます。
ヴロンスキーとアンナとカレーニンの関係は、宗教も絡んだ厳しい結婚の制度や、メンツ、個々の気持ちにぐるぐる巻きになって、袋小路に入り込みます。
多くの人は制度と実情を分けて考え、気持ちの逃げ道を作ります。互いに夫婦という建前を崩さず、異性のとりまきを引き連れるなり、愛人を作るなりするわけです。楽しかろうと虚しかろうと。
しかしアンナにはそれが出来ず、神経が張り詰めていく様子は、さまざまな問題を投げかけてきます。

登場人物のひとりひとりには、欠点もあれば美点もあります。愚かだと思いながら、心の中のほんの一点に、寄り添いたくなるような気持ちを見つけてしまって、すごいなあトルストイ、と讃えたくなります。
まだ話は半分なんですけど。


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