主人公の浅沼半十郎は、派閥の長である家老の命をうけ、家老の甥の石橋銀次郎とともに、「馬の骨」の使い手を探索する…という話です。
なんなの? この銀次郎って若造は。
銀次郎は神道無念流のなかなかの使い手らしく、「馬の骨」が伝わる不伝流の剣豪たちと手合わせをして、秘太刀の継承者をさがそうとします。不伝流の道場はガードが固く、他流試合も禁止しているので、銀次郎はひとりひとりの弱味を握って試合を強要するのです。態度が悪いしねちっこいしで、その不遜な物言いをする悪い口はこれか! と、唇をつねってやりたくなりました。
でも「なんなのこいつは」と読者に思わせるのも戦略なんですよねー。気がついたら結構楽しんでいました。
いっぽう銀次郎に振り回される半十郎は、家に帰っても妻が気鬱の病で心が休まらない気の毒な境遇です。
派閥の権力闘争を背景に、秘太刀の継承者は誰? という謎、半十郎夫妻をはじめとする人物たちの人生の哀歓が、後味よく描かれていました。
秘太刀馬の骨 (文春文庫)
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